2016年6月1日付のブログで「女性活躍推進・診断シート」をご紹介しました。
診断シートの関連から、これまでValue & Visionがご依頼頂いた案件を鳥瞰してみると、大きく分けて2つのパターンがあることに気づきます。
1. 診断シートの②でNoとなる; 取組みが初期段階のお客さま
2. 診断シートの③か④でNoとなる; 取組みが先行しているお客さま
今回は、パターンごとの特徴と研修の選択・留意点についてお話します。
【パターン1. 取組みが初期段階のお客さま】
初期段階のお客さまの場合、「国の方針に従って取組みを始めたが何をしたらいいのかわからない」、「社内でワークショップをやってみたが疑問や反論が続出して収集がつかない」、という悩みをほぼ共通してお持ちです。
この場合、現場からの声でよくあるのは「上はどう考えているのか、さっぱり見えてこない」というもの。事実、トップからは女性活躍推進やダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)に対する発信がない、あるいはあったとしても、「形式的で真剣さが伝わってこない」と認識されています。当然、診断シートの②でNoとなります。
こうした場合は、人事部や推進室の方々に、トップ・経営幹部を女性活躍推進活動に巻き込むことをお薦めしています。女性の活躍推進の成功のカギはトップのコミットメントであることが複数の調査から明らかになっています。できれば活動の初期段階からトップ・経営幹部に本気になって頂きたいものです。経営幹部研修は、経営幹部の女性活躍推進に対する理解を促進し、「本気」を引き出そうとするものです。
トップ・経営幹部に入ってきて頂くには、「なぜD&Iはわが社にとって必要なのか」と「なぜトップのコミットメントが大事なのか」について腹落ちして頂くことが不可欠です。そのためには、経営の視点からのビジネス・ケース(何が得なのか)を、一般論としてではなく「わが社」にとっての具体論として示すことがポイントとなります。
論客である経営幹部を相手にするにあたっては、具体論を示す中で、「国が言っているから」を超える明確なロジックとファクトが求められます。本ブログでご紹介した次の分析は、経営幹部研修で、経営幹部の理解促進とコミットメント引出しのために実際に使用した「ファクト」に一部手を加えたものです。Value & Visionがご支援する場合、可能な限り、日本全体のマクロ分析にお客さまの現状を対比させて議論を展開します。
【パターン2. 取組みが先行しているのお客さま】
先行しているお客さまの場合、トップのコミットメントと絶大な支援があり、研修やワークショップにトップご自身や人事担当役員がご出席される、という傾向があります。
こうしたお客さまで共通して言えるのは、数値目標設定、女性の積極的登用、両立制度の整備、社内研修などは着々と行ってきた、つまりできるところはすべてやりつくしてしまった、ということです。そして、難易度が高い「本丸」の課題に直面している、ということです。「本丸」が攻めきれないがゆえに、診断シートの③か④でNoとなるものと推測されます。「本丸」のよく見かける例を挙げます。
部下なしの管理職の女性は増えたものの、部門長としての管理職への女性の登用が進まない(ポストが制限されている場合は男性社員との競争もあり簡単ではない): 女性管理職の、より高い「質」が求められる
管理部門での女性の登用は進んだものの、法人営業部門(業界慣習に悩む)、製造部門(夜勤や力仕事に悩む)での登用が進まない: 女性活躍推進の枠を超えた、業界慣習や業務プロセスの改革を伴う
こうした場合、Value & Vision からは、次の3つの点でのご支援が可能です
女性管理職(候補)の質を、知識やスキルのみでなくモチベーションも含めて高めること
女性管理職(候補)の質の高さを周囲、特に昇進の権限を持つ上司に認識してもらうこと
上司の方に今ある職場環境を「所与」として管理するのではなく、リーダーとして率先して変革してゆく、という意識を持ってもらうこと
具体的には、「女性リーダー育成研修」と「女性人材育成者(上司)研修」の併行実施が有効となります。「女性リーダー育成研修」では、半年間以上の時間をかけて、不安や課題を自己認識し、仲間で共有し合い、そのうえで次の一歩を踏み出す勇気をじっくり醸成してゆきます。「女性人材育成者(上司)研修」では、上司の方に、上記の不安や課題を理解していただいたうえで、部下のポテンシャルを再発見するきっかけをご提供します。さらに、上司の方とご一緒に、現在の業界慣習や(男性主体の)仕事のやり方について本音で語り合い、変革の可能性を模索します。女性リーダー、育成者それぞれ単独で行う研修とジョイントで行う研修を効果的に組み合わせることが成功の鍵となります。
「女性活躍推進・診断シート」の右端「何を(ご提供できる研修)」に記載のあるプログラム例の(3),(4),(1)をご参照ください。これら3つの研修を同じ年度に実施した具体事例とお客さまの感想のリンクをブログ(研修実施事例紹介:ダイバーシティ&インクルージョン推進/女性リーダー育成)にご紹介しています。
以上、「女性活躍推進・診断シート」をもとに、2回にわたって、研修施策についてお話してきました。研修をご検討される際にご参考にして頂ければ幸いです。
2016年6月15日
投稿者:
コラム
カテゴリ:
徳田亮/近藤美樹
女性活躍推進研修の選び方② 研修ご依頼の2つのパターン
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