top of page
経営視点から斬る「女性の活躍推進企業データベース分析」業界比較①

アーカイブにある近藤のブログ「女性活躍推進企業データベースの活用」で言及した分析です(2016年3月4日付)。今回から2回にわたって、キースライド2枚を掲載します。この2枚はあるお客様の役員向けセミナーで使用したものに一部修正を加えたものです。

 

2016年4月1日時点でデータがインプットされている企業のうち、従業員1,001人以上の大企業に絞って分析を行いました。第1回めの今回は、正社員における女性従業員比率、女性管理職比率の業界毎の単純平均値の比較です。厚生労働省のデータインプットが提出のペースに追いついていないようで、データ数は今後更に増えると思いますが、分析対象社数はすでに600社を超えており (後述)、おそらく大きなトレンドは変わらないものと推測されます。


【分析結果】
想像に難くないかもしれませんが、業界平均値において、女性管理職比率は、女性従業員比率と正の相関を持っていました。因果関係は当然グラフからは特定できません。敢えて仮説をご提示すると、女性従業員が多ければ管理職候補者が増える、と言えるかもしれませんし、逆に、女性管理職が多ければ所謂ロールモデルが多くなり、管理職を希望する女性が増えるとも言えるかもしれません。

女性管理職比率(縦軸)の高い業界、低い業界はそれぞれ次のとおりでした

  • 上位3業界: 介護・保育、化粧品、アパレル小売

  • 下位3業界: 金属製品、鉄鋼、建設業


従来女性が担ってきた「ケア」サービスや女性向けの製品を扱っている業界が上位にきています。


グラフを斜めに横切る点線が45度線です。どの業界もこの45度線よりも下にあります。このことの意味は次の2点です

  • 管理職に占める女性の比率が、従業員に占める女性の比率よりも低い

  • (厳密さを犠牲にしてやや意訳すると)一般社員から管理職に昇進する確率が男女50:50でなく、女性の方が低い


この意味で、比較的男女50:50に近いのは、宿泊・飲食でした(女性従業員比率、女性管理職比率ともに20%程度)。


【前提条件】
最後に、苦労談をかねて、分析の前提条件について触れておきます。

  • ダウンロードした元データは877社です。厚生労働省テータベースから、900社近くのデータを一括してダウンロードすることはできず、データは手作業で  20社程度ずつExcelに移行しなければなりませんでした。

  • 次に、業界分類についてです。同データベースの分け方(2016年4月1日時点で、1,001人以上の企業につき23業種)が粗すぎるので、東京証券取引所の33分類で企業名を名寄せして、かつ、逆に33分類で粗い「サービス業」などの業界をValue & Visionの判断にて細分化しました。非上場企業については1社ずつウェブサイトに当たり業界を推定しました。複数の業界にまたがる事業を展開している企業の場合は、比率の高そうな業界を推定しました。 (これら分類には「主観」が入っていることをお断りしておきます)

  • 最後に、単体数字と連結数字。女性従業員比率の数字が企業単体で、女性管理職比率が連結、あるいはその逆といった、明らかに「リンゴとリンゴ (Apple to Apple)」ではない企業は除外。さらに、業界内の企業数が4社に満たないところは、個体差が大きく反映されるとの理由で、業界ごと除外しました。

  • 結果、分析対象となったのは、企業数627社、業界数41業界でした。ちなみに、上記の作業、われわれ2名で手分けしても丸2日間かかった重労働であったことを言い添えておきます。


次回は、女性管理職比率に絞って、業界毎の企業数構成比に焦点を当てた分析を行います。



関連記事リンク:

2016年4月11日

投稿者:

コラム

カテゴリ:

徳田亮

経営視点から斬る「女性の活躍推進企業データベース分析」業界比較①

コラム

アーカイブ

​カテゴリー

コラム

Value&Vision の徳田亮と近藤美樹がグローバルリーダー育成、ダイバーシティ&インクルージョン推進、女性リーダー育成、経営コンサルティングなどに関する内容を、エッセイ、分析、対談など、さまざまな形式で綴ってゆきます。

bottom of page