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経営視点から斬る「女性管理職比率」: 日本の女性活躍推進における位置づけ

先のブログでは、厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースの数値をもとに、2回にわたって、日本の企業における女性従業員比率、女性管理職比率の話をしてきました。特に、後者、女性管理職比率に話のウエイトを置きました。今回は、「そもそも、なぜ女性管理職比率が日本にとって大切なのか」を、先の分析の前段の議論として、遡って簡単に説明しておきます。

 

4月11日付の「厚生労働省データベース分析 (業界比較: その1)」をご参照ください。それと同じ横軸・縦軸、つまり、女性従業員比率・女性管理職比率の2軸で日本全体の平均値を外国の相当する値と比べてみます。(厳密には、上のグラフの横軸は「女性就業者」であり、家事や通学をしながらの兼業、つまりパートやアルバイトも含んでおり、必ずしも「従業員」ではありません)

 

上のグラフは、日本を含む12か国の比較です。点の分布はピンクの楕円で示したように、ラグビーボールの様に縦長になっています。そのビジュアル的な意味は次の2点です;

  • 横軸、女性従業員比率では諸外国に大きな差がない

  • 縦軸、女性管理職比率では国によって大きな差がある

 

日本はラグビーボールの最下部にあるので、女性管理職比率が12か国中最下位ということになります。前年度のデータでは、韓国を僅かに上回っていたのですが、最新の2013年のデータでは逆転されました。

 

グラフに記載のある平均値を見てください。横軸が45%、縦軸が31%です。これに対して、日本のピンクの点の部分に記載のある2つの値は、横軸が43%、縦軸が11%。 横軸がほぼ平均(45%)並みなのに対して、縦軸が大きく平均(31%)から下方向にかい離していることが分かります。つまり、日本にとっては、女性の就業率自体は他国比、問題ではなく、女性の管理職比率が問題である、ということになります。


政府は、女性管理職比率の目標を、2020年度に30%としています。ネットで検索した限り、政府のメッセージの中に30%の明確な根拠を見つけることができませんでした。しかし、上記分析結果が31%であるのは、偶然でしょうか? 政府は「諸外国並み」を目標数値にしているのかもしれません。(ちなみに、次回以降の分析を先取りして言うと、日本における正規雇用者に占める女性比率もこのマジックナンバー、30%です)


今回、あらためて、女性管理職比率がなぜ日本にとって大切なのか、を取り上げました。次はこれを受けて、女性管理職比率が低い理由を、有名な「M字カーブ」の分析から考えてみたいと思います。その1、その2の2回に分けて経営視点からお話します。

2016年4月26日

投稿者:

コラム

カテゴリ:

徳田亮

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Value&Vision の徳田亮と近藤美樹がグローバルリーダー育成、ダイバーシティ&インクルージョン推進、女性リーダー育成、経営コンサルティングなどに関する内容を、エッセイ、分析、対談など、さまざまな形式で綴ってゆきます。

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