昨年はEmpower Women Leaders Programを立ち上げ、早々に企業研修や内田塾などの機会をいただくことができ、とても充実した年となりました。今年は、さらに展開を広げていきたいと思います。
さて、先日、早稲田大学の学部生を対象としたIntroduction to Global Leadershipというプログラムの中で、Diversity&Inclusionについて講義する機会をいただきました。対象者は学部・学年不問、男女比は50:50、約1/3が留学生で講義は英語で行いました。 内容は、特にGender Diversityに焦点をあてて、Gender Equalityやビジネス社会でのGender Diversityの現状、リーダーシップスタイルにおける男女の傾向差のお話などもしました。
今回の講義で、興味深かったことが2つありました。
1つ目は、「グループ内でのダイバーシティを探す」というグループディスカッションの中で、学生さんから「Sexual Orientation(性的指向)」があげられたことです。社会人向けの研修では、受講者からあがったことのない属性でしたので新鮮でした。Diversity & Inclusionの先進的なグローバル企業では、LGBT(Lesbian, Gay, Bi-sexual, Transgender)も取り組みの対象としています。最近は日本でもLGBTという言葉を耳にするようになりましたが、日本企業ではダイバーシティの課題に掲げて取り組むまでには及んでいません。
2つ目は、リーダーシップスタイルの志向です。 学生さんに3つのリーダーシップスタイルを提示し、どのスタイルが自分に近いか挙手してもらいました。 3つのスタイルとは、リーダーとしてチームを導くとき、①チームに指示を出し先導する(トップダウン型)、②チームの横について励ましながら共に進む(コーチ型)、③チームを後方から支援する(サーバントリーダー型) というものです。 リサーチからは、女性は②または③を選ぶことが多いことが明らかになっており、私の研修でも女性の受講者の8~9割は②または③を選びます。一方、女性受講者の上司(男性)は①が多いとききます。「黙って俺についてこい」というトップダウン型の男性リーダーをみて、部下の女性は「自分には到底無理」とリーダーになることを躊躇していることがあります。また①のスタイルの男性上司からは②や③のスタイルは、「部下を甘やかしている」とみえることもあり、②や③のスタイルの女性は「リーダーシップが足りない」という評価をされてしまうことがあります。
今回、ほとんどの学生さんが属性(性別や国籍)に関わらず②を選びました。一人の男子学生が②を選んだ理由として、「①だとチームメンバーは”義務感“でリーダーに従い、”信頼“ベースの関係になりにくい。チームメンバーとの信頼関係を築いたうえでリードしたほうが、よりよい結果が生まれると思うから②がよいと思う」と答えました。 このような考え方の人たちが社会人になりリーダーになると、①=男性に多いというリサーチの結果もかわってくるのでしょう。
企業の中では、男女のリーダーシップスタイルの違いより、世代間の違いというものがより際立ってくるかもしれません。 「多様なリーダーシップスタイルを受け容れる」組織文化は、女性のみならず新しい世代を受け容れるうえでもますます重要な要件になってくると実感しました。
まだ頭の柔らかい学生さんたちに、Diversity&Inclusionというコンセプトについて考える機会をもってもらえたことはとても嬉しいことです。今年は、若い世代に向けた活動の機会もとらえていきたい思います。
2015年1月25日
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近藤美樹
【旧サイト】新しい世代を感じる (早稲田大学でのDiversity & Inclusionの講義から)
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近藤美樹の旧ウェブサイト「Empower Women Leaders Program」に掲載されたブログ(2014年7月~2016年4月)を転記しています。