Photo by Rika Otsuru, MyStyleVacation.com
男性管理職の方から「女性の部下のモチベーションを高めるにはどうしたらよいですか?」と訊かれることがあります。男性が主体の職場では、男性管理職は女性の部下に気を遣いすぎてしまうのかもしれません。私は、「女性と一括りで考えずに、部下がどのようなときにやる気を出すかをよく観察してはどうでしょう?」と答えています。
ご参考までに、私の背中を押した記憶に残る男性上司の言葉を紹介します。
ひとつ目は、コンサルティングファーム勤務時のことです。新しい人事制度の導入を終えたある日、人事の責任者であるパートナー(共同経営者)から「フィードバックをしたいから部屋に来るように」と呼ばれました。パートナーは、ハードワークをねぎらい、仕事の成果について具体的なフィードバックを下さいました。仕事ぶりをよく見て下さっていたと知り、私の心は嬉しさと達成感で満たされました。
そしてさらなる一押し。「これからこの会社では人事の存在はますます重要になります。あなたには人事のプロとしてもっと活躍してもらいたい。私は、あなたにはその能力があると思います」とおっしゃったのでした。
このひとことは、落雷のように私の心を打ち、私のプロ意識に火をつけ、その後のHRMの修士留学に導いてくれたのでした。
もうひとつは、化粧品会社時代の上司の言葉です。当時の私は、忙しい日々が続き心身ともに低空飛行でした。世界的な社内プロジェクトにおける日本のプロジェクトリーダーへの打診を受けたものの、そんな大きな仕事をやり遂げる自信などまったくありませんでした。一方で、大変そうだけど成長できる機会かもしれない、と断りがたい気持ちもありました。
悩みに悩み、正直に上司にメールで気持ちを伝えました。(多忙な上司で直接話す時間がとれなかった) 上司からの返信は、「あなたが迷っていることはよくわかりました。でも私は、これまでのあなたの仕事ぶりをみてあなたならできると確信しています。そして、このプロジェクトはあなたのキャリアにとって必ずプラスになると思います。たとえあなたが将来この会社を去ることになっても、この経験はきっとあなたに役立つでしょう。不安に思っていることは具体的に洗い出して、あなたなりの条件を出してください」というものでした。
ここまで言ってくださるならと、私はその仕事をお受けしました。厳しい仕事ではありましたが、上司の言ったとおり、私のキャリアの節目となるかけがえのない経験をすることができました。
ふたつの言葉の勝因は、まず、私の「モチベーションのツボを抑えている」こと。人によってモチベーションのドライバーはさまざまです。私の場合は、「プロフェッショナル」「成長」「キャリアにとってプラスになる」が心に響いたキーワードです。
もうひとつは、上司が「私の仕事ぶりをよく見たうえで期待をかけてくれている」と伝わってきたこと。つまり、適当に持ち上げているわけではないと感じられたことです。
そして、上司たちの言葉には、私が「女性」だからという視点でのコメントは一切ありません。「ビジネスパーソン」としてフェアに接して下さったことは、本当にありがたいと思います。
2014年8月23日
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近藤美樹
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近藤美樹の旧ウェブサイト「Empower Women Leaders Program」に掲載されたブログ(2014年7月~2016年4月)を転記しています。