top of page
実施報告:お茶大女性ビジネスリーダー育成塾「徽音塾」(2019年5月25日)

Photo by Rawpixel / PIXTA

5月25日(土)にお茶の水女子大学「徽音塾(きいんじゅく)」にて、社会人女性向けに「これからの、女性のリーダーシップ~グローバルとローカルの視点から~」という講義を行いました。


昨年も同じテーマで講義をしましたが、2つの点において昨年より進化させました。(2018年徽音塾実施報告はコチラ

2019年6月1日

投稿者:

コラム

カテゴリ:

近藤美樹

実施報告:お茶大女性ビジネスリーダー育成塾「徽音塾」(2019年5月25日)

進化その1:受講生の関心が高いテーマにより多くディスカッションの時間を割き、深掘りしました。昨年の講義で最も盛り上がったのは、自職場で発揮されているリーダーシップを振り返るディスカッションでした。そこで、昨年と同様、まず、アメとムチでメンバーを引っ張る「交換型リーダーシップ」と信頼をベースにメンバーを動かす「変革型リーダーシップ」に関する講義を行い、そのうえで、昨年より時間をかけて、次のようにディスカッションを進めました。


  • 先行きが見えず、リーダーが必ずしも答えをもっていないVUCAワールドに求められるリーダーシップは「変革型リーダーシップ」であるという前提のもと、「変革型リーダーシップのニーズの有無」と「変革型リーダーシップを発揮している人材の有無」をマトリックスにして提示しました。受講生に自職場はマトリックスの4つの象限のどこに入るかを考えてもらいました。

  • 自職場の状況を、まず4-5人で構成されるグループで共有し、その後全体で共有しました。

  • マトリックスでは、「変革型リーダーシップのニーズが有り、実際に発揮している人材がいる」という象限に該当する職場が最も多かった一方、「変革型リーダーリップのニーズがなく、実際に発揮している人材もいない」という回答もありました。

  • さらに対話を通じて深掘りしたところ、次のようなコメントがあがりました。

    • 「変革型リーダーシップは若手には有効だが、長年アメとムチで動かされてきたシニアメンバーには効果がでそうにない」

    • 「状況や相手に応じてリーダーシップを使い分けているリーダーは成果をあげている」

    • 「成熟したメンバーで成り立っている職場なので、どのようなリーダーシップでも成果は出すだろう。ただ、変革型リーダーシップのほうが、メンバーのやる気や職場へのコミットメントが維持できると思う」

  • 職場での効果的なリーダーシップのあり方は、「交換型」か「変革型」かの単純な2択ではなく、職場のミッション、組織文化、メンバーの属性・性質、状況によって異なるという、具体的な事例や気づきを共有しました。


進化その2:女性リーダーが直面する課題のひとつである「ワークライフバランスを保つのが困難」に関して、リンダ・グラットン著「LIFE SHIFT」の情報を参考に、日本の環境に合わせた「人生100年時代のワークライフの考え方」という新しい視点を提示しました。従来の人生80年時代は、(学校教育で)「学ぶ」⇒「働く」⇒(老後に)「楽しむ」と、人生の3つのステージが「リニア」に展開していきました。


しかし、これからの100年時代は、「働く」「学ぶ」「楽しむ」を「パラレル」に展開させる生き方が求められてきます。

  • 「働く」:多くの人の場合、先細りが懸念される年金のみでは生活が困難となり、長く収入を得るために「働き続ける」必要があります。

  • 「学ぶ」:働いて収入を得続けるには、知識やスキルを職場や社会に対して「有効」に保つ必要があります。そのためには学校教育での学びだけでは不十分で、生涯を通じて「学び続ける」ことが求められます。

  • 「楽しむ」:充実した人生を送るには、お楽しみを老後にとっておくのではなく、現役時代から、その時々において「人生を楽しむ」ことを肯定すべきと考えます。


さらに、男女の役割分担も、人生80年時代のように、男性は主に仕事、女性は主に家事・子育てといった固定的な分業体制ではなく、それぞれの人がパートナーと、仕事、家庭・子育て両面で最適な協力体制を柔軟に築いていけばいい、ということもお話しました。


180分という短い時間でしたが、さまざまな業界で活躍される受講生の皆さんは問題意識が高く、活気ある豊かな対話の時間となりました。受講生の方からは、「漠然とした不安が解消された」「実践的なアドバイスが得られたので明日から実践してみたい」といったフィードバックをもらいました。事務局の方からも、「講義終了後には受講生の表情が晴れ晴れしていました」と言っていただきました。


これからも、真摯に仕事に向き合う女性たちが、不安を解消し、勇気を出して道を切り拓いていくための支援を続けたいと思います。ここに働く女性の「もやもやバスター」となることを宣言します!


お茶大徽音塾のウェブサイトで授業風景を掲載していただきました。

http://www-w.cf.ocha.ac.jp/leader/kiin/0525lec/


コラム

アーカイブ

​カテゴリー

コラム

Value&Vision の徳田亮と近藤美樹がグローバルリーダー育成、ダイバーシティ&インクルージョン推進、女性リーダー育成、経営コンサルティングなどに関する内容を、エッセイ、分析、対談など、さまざまな形式で綴ってゆきます。

bottom of page