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2016年に発売された本「LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略~」(リンダ・クラットン、アンドリュー・スコット著)は大きな反響を呼びました。2007年に生まれた日本人の約半数が100歳以上生きるという予測とともに、人生100年時代の新しい生き方が提示されました。今では「人生100年時代」というフレーズを、さまざまなCMやメディアで目にします。
V&Vでは、「人生100年時代」に向けて、「LIFE SHIFT」を起点に独自の視点から「新しい時代の人材育成のあり方」について考察を深めました。V&Vが考える「人生80年代時代」と「人生100年時代」のカギとなる違いは次の通りです。
2020年1月26日
投稿者:
コラム
カテゴリ:
近藤美樹/徳田亮
研修における「人生100年時代」の視点
1. 人生のステージ
80年時代:学ぶ⇒稼ぐ⇒楽しむ が順番(リニア)に起こる
学ぶ:学校で勉強する(=「受験戦争参戦」)稼ぐ:就職~定年まで働く(=「滅私奉公」)楽しむ:定年後、第2の人生で本当にやりたかったことを楽しむ(=「人生の楽園」)
100年時代:学ぶ・稼ぐ・楽しむ が同時(パラレル)に起こる
学ぶ:変化の激しい時代の中、スキル・ノウハウの「賞味期限」が短くなり、学校卒業後も、学び続けることが求められる
稼ぐ:「年金制度」に揺らぎが生じる中、少しでも長く働き続け、長生き分の収入を確保することが求められる
楽しむ:「老後」が遥か未来に後退する中、楽しみを先送りにするのではなく、ライフステージに応じて日々の私生活を充実させたいというニーズが高まる
2. パートナーとの役割分担
80年時代:男女の役割分担が固定的である
男性:稼ぎの担い手
女性:家事・子育て・介護の主な担い手
典型的な課題:定年・子育て終了後、夫婦で共有できるものがなく熟年離婚に至ることも
100年時代:パートナーとの役割分担が多様化する
性別に関わらず、学び続けて稼ぐとともに、日々の生活をともに(時には別々に)楽しむ。家事・育児・介護は柔軟に分担する
新しいニーズ:自分だけでなく、パートナーと自分のキャリア設計をライフステージの変遷をベースにセットで行う必要がある
3. 労働インフラの整備
80年時代:「稼ぐ」と「やりがい」の両立は困難
現役時代は「稼ぐ」ことに集中し、本当にやりたいことの実現は老後まで待つ
100年時代:「稼ぐ」と「やりがい」の両立のオプションが得られる
副業の解禁で、本業で稼ぎ、副業でやりがいを追求することが可能になる
テレワークの普及により、仕事をする場所の自由度が広がる(地方での活動と都心での仕事の両立が可能になる)
上記1~3を前提として、V&Vが提供する研修プログラムには、次の視点を採り入れています。
「80年時代」の世代と「100年時代」の世代とでは、大きな価値観、行動様式のギャップがある。「世代間ギャップ」はいつの世にも言われ続けてきたが、今の時代の「世代間ギャップ」は、単に年齢や経験の差を超えた、大きな不連続な変化となっている。上司と部下のコミュニケーションがかみ合わないのは、しばしば、この不連続な変化に起因するものと考える。受講者には、部下、上司双方に、世代間の相互理解のベースとして、1~3の考え方を伝えている
受講者に学び続けることの意義を伝え、(一昔前の学校の授業のように)受け身で講義に臨むのではなく、受講者自らが「何のために、何を学びとるのか」という課題意識を持って臨むことを求めている。受講者には、そのうえで、積極的に「答え」を取りに行き、さらにそれを職場実践に応用するように指導している
キャリアを描くにあたり、「80年時代」の(親の世代の)価値観や常識ではなく、「100年時代」の新しいフォーマットをベースに、自分や家族の価値観やニーズにあった設計図を描くように支援している
昨年から強調している「人生100年時代」の視点は、特に若手の受講者の心に刺さるようです。昨年実施したキャリア開発研修では次のようなフィードバックをもらいました。
“人生100年時代!学び、投資、遊び、休みを並行的に進めていく時代。成長するために、充実した人生を送るためには小さなことからでもよいからComfort Zoneを超えていくことを意識していきたい。先を見据えてやりたいことに素直にチャレンジ、先の選択肢を増やす行動をしていきたい”
“研修から「人生は楽しい。キャリアを考えることは楽しい。自分次第でいろんなキャリアをつくることができる」ということを学んだ”
“人生100年時代は、パートナーと自分のキャリアを”家族のキャリア”としてセットで捉えるという話が印象的だった。配偶者とキャリアについて話し合ってみたい“
慣れ親しんだ考え方や行動を変えることは容易ではありません。しかし、外部環境の変化が激しい現代では、変化を受け容れ、変化に翻弄されることなく、自分で舵とりをしていかねばなりません。V&Vは、外部環境の変化の本質を捉え、変化が個人に与える影響を踏まえて、「80年時代」の世代と「100年時代」の世代のブリッジ役を務めつつ、今年もクライアントの意識・行動変革を支援してゆきます。
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Value&Vision の徳田亮と近藤美樹がグローバルリーダー育成、ダイバーシティ&インクルージョン推進、女性リーダー育成、経営コンサルティングなどに関する内容を、エッセイ、分析、対談など、さまざまな形式で綴ってゆきます。